捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
 頭を下げようとしてやめたのは、涼さんの口調が仕事のときとは違うものだったからだ。私はこの人がどんなふうに仕事をするのか知っている。そして、プライベートでどんなふうに話すのかも知っている

「三年振りか。久し振りだな」

(今更、なにを)

「お前なら来ると思っていた」

 その言葉にぐっと唇を噛む。言うな、と自分を強く制したにもかかわらず、勝手に声が出てしまった。

「仕事が目的じゃないの?」

 言ってから、全身が冷える。

(やってしまった――)

 取引先になるかもしれないクライアントを相手に、タメ語で話しかけるとはなにごとか。今日は仕事に徹するつもりだったのに、たった数秒でペースを乱されてしまった。

(ああもう、こうなったら取り繕うだけ無意味でしょ)

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