捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
「あんたが! あんたが翠を!」

「芽衣子!」

 すさまじい剣幕に慌てて芽衣子を止めようとする。その前に、肩をすくめてしまうほど痛ましい音が響いた。

 芽衣子が涼さんの頬を手加減抜きで引っぱたいた音だった。

「どこの誰か知らないけど、絶対に許さないから! どうしてずっと一緒にいてあげなかったのよ! どの面下げてここに来たの!」

「誰だ、お前は」

「牧屋芽衣子! 翠の友達!」

「お願いだから落ち着いて……!」

 泣きながら涼さんを叩く芽衣子を必死に抑え、なんとか引きはがす。爪が当たったのか、涼さんの目の下に赤く傷が付いていた。

「芽衣子……ありがとう、ごめんね」

「っ……こんな奴、鳴くんに会わせてやらなくていいよ。また翠が傷付くんだよ!」

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