捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
 ホテルで甘く流されかけた私はもういない。鳴のためにも、ここではっきりさせなければならなかった。

「あなたが私を捨てたときから、もう同じ人生は生きられないって決まったの」

 そう言った瞬間、かたんと物音が聞こえた。閉ざし切っていなかった部屋のドアが開き、芽衣子が入ってくる。

「芽衣子?」

「今の、本当?」

「え?」

「この男がすべての元凶なの?」

 芽衣子をよく知る私ですらぎょっとするぐらい、冷たく強張った声だった。

 その目は私ではなく涼さんに向けられている。当の本人は訝しげに芽衣子を見返していた。

「――あんたが翠を傷付けたの?」

 その声の響きから違和感を察し、蹴るようにして椅子を立つ。けれど、待ってと止める間もなく芽衣子が涼さんに掴みかかった。

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