捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
 芽衣子の力を借りながらも、たったひとりで鳴を育ててきた。叱れば嫌いだと泣かれ、ぐずられて髪を引っ張られ、ぼろぼろになっても頑張ってきたのに、涼さんはおいしいところだけを持っていこうとしている。

「ものなんかで釣ろうとしないで。鳴にあげるものは私が決めるから」

 自分が情けないことを言っている自覚はある。鳴のためだと言いながら、私は自分のちっぽけなプライドを捨てきれない。私と鳴だけの世界に、ほかの誰も入ってきてほしくはなかった。

 必死さが伝わってしまったのだろうか、涼さんは私を見つめたまま微かに眉を寄せる。

「お前は鳴を釣るためにものを買い与えてきたのか?」

「そんなわけ――」

「なにか与えたいと思ったから与えるものだろう。少なくとも俺はそうだ」

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