捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
 ふ、と鼻で笑う気配がした。見ると、涼さんの口元に自嘲めいた微笑が浮かんでいる。

「そうだな。金ならある」

「いいな。私もそれ、言ってみたい。庶民の憧れる台詞だよね」

「言えばいいだろう。結婚した以上、共有財産だ」

「稼いだのは涼さんであって私じゃないでしょ」

 涼さんは答えなかった。

 小さな違和感を覚えて、飲もうとしていたコーヒーカップを口から離す。

「どうかした?」

「……いや、別に」

 呟くように言った涼さんが、懐からなにか取り出す。

 それは手のひらにおさまる程度の箱だった。無造作に渡され、落としそうになる。

「なに? くれるの?」

「夫婦になったからな」

 その言葉にぴんと来た。

(もう少し渡し方に気を使ってくれてもいいと思うんだけど)

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