君だけが知っている君へ。
初めて結美が話してかけてくれたあの日、私は一生懸命泳いでなんとか彼に追いついた。

「もしかして俺にやり返す気?」

「だって私、他に誰がいるか分からないし!」

「結美のこと追いかけたらいいじゃん」

「速すぎて追いつけなかったの!」

「俺もけっこう速いよ?」

そう言って、身軽に私の横をすり抜けていく。

私は悔しくて、とにかく必死に追いかけた。
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