ウルルであなたとシャンパンを

しっかりばっちり誠実に、昨日は申し訳ありませんでした!と頭を下げて謝れば、眉をひそめて何か言うくらいで許してくれるのではないだろうか?

迷いに迷った末、香耶は一筋の希望にすがってルカにメールの返事を送ることにした。

『おはよう。昨日は、ごめんなさい』

浮かんでくるルカの顔に何度も指を止めながら、どうにか、この一文を打ち込むと、すぐにスマホが震え始めた。

もう返事が?と画面を見ると、それはメールではなく、通話の着信で。

『ルカ』と、カタカナで名前が表示されていた。

記憶にはないが、香耶とルカはキスだけでなく、電話番号の交換もしていたらしい。

出ようかどうしようか……迷ったけれど、メールを送った直後に居留守というのは、どう考えても感じが悪い。

お礼をして、謝って、お金を返して……あ、ガイド代も支払わないといけない。
そうだ、その催促かも……

いろいろとお世話になって、多分、夕食のレストランでの支払いも立て替えてもらい、それにキ……キスまでしてしまったのだ。

苦情を言われるかもしれない、と覚悟の上で、通話ボタンをタッチした香耶はスマホを耳に当てる。


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