【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
「私は出来ないけど、シュテルくらい魔法が上手ければ出来るんじゃないの?」
「僕だって出来ないよ」
「でも、他に考えられない」
「よく考えてよ。違う理由があるんだよ」
「わかんないよ、そんなの」
「ヒントをあげるね」
「ヒント?」
そう答えれば、シュテルは笑った。
「ベルン、好きだよ」
「私も好きだよ?」
「違うよ、そうじゃなくて」
「そうじゃなくて?」
シュテルは困ったように笑った。
「僕、君にキスしようとしてるんだけど?」
突然の言葉に驚いて、シュテルの顎を押しやる。身体が動いた。魔法が解けた。