【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)

 女だとバレないようにしていたけれど、それは学校にいるためでシュテルに嘘ついてる自覚がなかった。どっちだって、私は私だって思ってた。それで今まで困らなかったし、これからも良いと思ってた。

 それなのに、急に怖くなる。どっちつかずでいることが怖くなる。
 男だとか女だとか、気にしなくていいと思っていたのに。

 このまま男のふりをしていけるのだろうか。
 何時女に戻るのだろうか。
 女だと知ったらシュテルは私を軽蔑するだろうか。

 シュテルが好きなのは、騎士の私なのだ。
 令嬢としての私は、背は高すぎるし胸もなくて、顔なんて可愛さからかけ離れている。なんてったって男と思われているくらいなのだから。そんな女を、女が苦手なシュテルが好きだと思うはずがない。


 嘘つきだと、思うだろうな。

 そう思ってゾッとした。
 悪いのは自分だけど、真実を知られて嫌われるのは嫌だなんて図々しいと思うけれど。

 だったら男のままでいたい、そう思ってしまうのだ。


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