【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
「はぁはぁ、メイドさんメイドさん。ガーターベルトイン暗器最高はぁはぁ、でも短パンは反則だよぉ」
容赦なく腕をつかみねじりあげて押さえ込む。
「押し倒すなんて大胆っん」
氷で抑えたはずの土が盛り上がってくる。さすがの魔道士だ。魔力を抑える暗器を使っても、私一人の力では押さえがきかない。
もあり上がった土が足を這いあがる。膝がしらにギュッと力を入れ、内腿に触れられないようにする。ゾワゾワと鳥肌が立つ。気持ち悪い。
「シュテっ!」
とっさにシュテルに助けを求めようとして、口を噤む。今日はここにいないのだ。
思わず涙目になる。気持ち悪い。
クラウトが慌てて駆け寄ってきて、魔力封じの縄を蔦に絡ませ、ぐるぐる巻きに拘束し、ザントの顔を踏みつけた。
クラウトは私の脇に手をいれ、抱き上げた。ホッとして、思わず腕に縋りついた。クラウトは安心させるかのように、頷いてくれる。