【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
マレーネ姫との踊りを終えて、私はそっと壁際に戻る。
お姉様はフェルゼンとのダンスが終われば、すぐに他の貴公子たちにダンスの誘いを受けていた。
おさすがです、お姉様。
私はお姉様を誘う貴公子たちを見ながら、名前と出自をチェックする。お姉様にふさわしいかどうか吟味するのだ。
喉を潤すためにフルートグラスを口に運べば、シュテルが近づいてきた。
だから、目立ちたくないんですってば!!
「社交ダンスも見事だね。マレーネはどうだった?」
「御上手でしたよ。デビュタントとは思えないほど落ち着いてらっしゃいました。さすが姫様です」
紳士ぶってそう言えば、シュテルは満足げに笑った。