【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)

 初めてだ。初めてなのに。

 悲しくて泣きだしそうだ。これで最後、終わりを告げる。
 最初で最後の、接吻。

 ひっそりとマントに隠して、そっと唇を啄ばむ。

 これで最後だから、真実を言わせて。これが最期だから、もう一つだけ嘘をつかせて。

 好き。今でも好き。だけど、忘れて欲しいから。貴方を過去にしよう。私を過去にして。

「好きだったよ」

 そう絞り出す言葉。
 瞳を覗き込めば、金の星がきらめいた。光が戻る。この国の希望の光。
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