【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
「好きだったよ」
ベルンは泣き出しそうに言って、僕は意味が分からずに動揺する。
どうして、過去形なのか。
謝ったのは、このことなのか。
聞きたいことはたくさんあっても、喉がつかえて声が出ない。
ベルンは騎士の顔つきになり、僕の魔法を欲しがった。
僕はあらん限りの力でそれに答える。
君の欲しいものは全部あげる。
「後を頼む」
ベルンそれだけ言って。僕を背にして立った。
そしてあの、美しいと思った鳥の前に立ちはだかる。ベルンの後ろから見る鳥は、もう美しくなかった。
おぞましく醜い、大きな怪鳥。初めて見るモンスター。
僕の剣でとどめを刺して、ベルンは消えた。