【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)

 部屋がノックされる。
 フェルゼンがドアを開けると、そこにはクラウトがいた。
 厳しい顔つきで決意を秘めている緑の目。

「フェルゼン先輩にお願いがあってやってきました」

 深々と頭を下げる。手には紙の束を持っている。

「ベルン先輩を助けたいので協力をお願いします」
「それなに?」

 僕は手元を覗き込んで尋ねた。
 クラウトは慌てた様子で答える。

「た、嘆願書です。今、貰えるだけ貰ってきました」
 
 僕とフェルゼンは顔を見合わせた。

「ベルンは愛されてるな」

 フェルゼンが嬉しそうに笑う。

「そうだね」

 僕も胸がいっぱいになる。これだけの人数がいたら、何とかなるかもしれない。何とかしなくてはいけない。

「丁度僕らも同じことを考えてたところだよ。君にも協力してもらいたいんだ」
「はい!」

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