【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
カポカポと馬を歩かせ、森を散策し、丘の頂上に着いた。俺たちは馬を木につなげ、丘の上で遊び出す。
模造刀を振っていつもどおりの混戦試合だ。
カンカンと軽い剣の音が、はじまりかけた夏の空に響く。馬はのんびりと草を食んでいる。
じんわりと滲む汗。上着を脱ぎ捨ててシャツだけになる。
「あっちー!」
暑がりな俺は、シャツの胸をはだけてパタパタと風を送る。ちょうどお茶の準備ができたようだった。
敷物の上に、軽食が用意されている。サンドイッチや焼き菓子、オレンジジュースの瓶もある。
すでに出発からだいぶ時間が経っていた。持ってきたときは冷たかっただろうオレンジジュースは温くなっているはずだ。その証拠に瓶の周りは水滴がたくさんついている。