【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)

「私がやるね」
 ベルンがそう言ってオレンジジュースを取ろうとする。侍女は慌てて、ジュースの瓶を拭いてから、ベルンに手渡した。
「はい、シュテル、どうぞ」
 そう言うと、自らシュテルのグラスにオレンジジュースを注ぐ。シュテルは照れたように笑って、グラスを差し出した。
 なんだか、ベルンらしくない。シュテルが王子だから媚びるのか?
 顔をしかめる俺を見てベルンは笑った。
「はい、フェルゼンも」
 俺のグラスにもベルンがオレンジジュースを注ぎ、最後に自分のグラスに注ぐ。
「それじゃ、かんぱーい!」
 シュテルが言って、三人でグラスを合わせる。
 キンと高い音が響いて、グラスがキラキラと光った。
 オレンジジュースを一口のみ、俺とシュテルは顔を見合わせる。
< 400 / 408 >

この作品をシェア

pagetop