【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
昼には白かったムクゲが時を経てピンク色に変わったように、シュテルも色づいている。夕焼けに染められたようなシュテルの頬。呆けたように開いたままの唇。明らかに見蕩れている。
ベルンに心を染められている。
「シュテル?」
ベルンは不思議そうに小首をかしげた。
シュテルはハッとして、苦笑いする。
そして、ムクゲに近づくと花をひと枝折った。
「シュテル?」
驚くベルンの耳にムクゲの花を挿すシュテル。
そうして、シュテルは微笑んだ。
「こうしたら、もっと綺麗」