【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
ベルンが立ち止まり、俺たちを振り返った。
「ほら! ムクゲ! 色が変わった!!」
そう笑うベルンの指先を見る。
来たときは白色だったムクゲの花が、ピンク色に色づいて夕焼けに溶けてしまいそうだ。
「綺麗だね!」
屈託なく微笑みかけるベルン。
綺麗なのはお前だ。
口に出しかけて、ハッとした。今はシュテルがいる。
「……ああ、綺麗だ」
ぎこちなく答えてから、俺はそっと、シュテルを見た。
そして、俺は息を呑んだ。