【web版】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(コミカライズ:男装令嬢が性別を隠して士官学校に入学したら、王子様と騎士様が執着してきます)


☆ ☆ ☆

 
 水面が揺れる。
 小さな足が湖に入ってくる。
 まだ春の水は冷たいが、そこだけほんわかと温まってくる。

 ああ、あの子じゃな。

 
 浅瀬の泥をすくうから、水が汚れてしまうじゃろ。
 あまり無体はしてくれるな。
 まだ魚は寝ておるのじゃ。

「ねぇ、それなぁに?」
「睡蓮の鉢だ」

 鳥の声と子供の声が響く。

「スイレン?」
「水の上に咲くんだぜ。俺の領地じゃ、太陽の花って呼ばれてる」

 太陽の花……。

「なんで?」
「あの日、水面の紅葉が綺麗でさ、どっちが上かすぐわかった」

 そうじゃな、アレは美しかった。

「だから、これが咲いてれば、紅葉がなくても水面がわかると思ったんだよ」

 なんて賢い子じゃ、良い子じゃ良い子じゃ。
 これで溺れる子も減ると良い。

「それに、……笑うなよ?」
「笑わないよ」
「……あの日主様は手を振って送ってくれたような気がしたから……なんとなく?」
「プレゼント? 良いと思う!」

 なんじゃ、わらわにプレゼントかえ?
 花のプレゼントかえ?
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