【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)

 湖は穏やかに凪いでいた。あたりの紅葉が水に落ちて錦を織りなす。
 地べたに座ってブーメランを短剣で削った。ウォルフが教えながらも、なれない手付きの俺を見てハラハラしているのがわかったから、余計悔しかった。戦う刃と、作る刃では勝手が違うから仕方がない。
 でも、もうだいぶ出来ているのだ。後は調整だけになっている。
 俺たちは投げては削り、投げては削りを繰り返した。周りの子どもたちも真剣だった。
 やっと納得いくように飛ぶようになり、俺たちは表面を磨いて整えた。

 うん、気に入った。良い物が出来た。

 秋の日差しを反射して、輝く木地がカッコイイ。後でゆっくり磨いてオイルでも塗ってみようか……。
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