【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
俺は茫然としていた。息もできないくらい胸が苦しくなって、鼻に水が入ったみたいに痛くなった。あの湖の中にいるよりも苦しいと思った。
アイスベルク侯爵は俺を見て、穏やかに笑った。もう冷たい目線ではなかった。
そして、俺の頬をゆっくりと撫でた。温かい手。
「君まで泣かしてしまったね」
そう言われて初めて、俺は泣いていることを自覚した。