The Math Book

 翌日の放課後、友達に一緒に学校に残って学校の課題をやることを提案されたが代わりの塾の授業が入ったのでいけないと断った。

「そっか、最近勉強頑張ってるよね。ファイト〜」

 そう言われて友達に校門から見送られた。

 塾の時間が迫っていたので走って駅に向かう。

 走りながらZ先生はもしかして私が来るのか心配してくれているのかなとちょっぴり喜んでいた。

 


 授業時間にはなんとか間に合った。
 いつもの道のりを経て塾の扉の前にたどり着いた。
 

 思いっきり塾の扉を引くと待ってましたと言わんばかりにすでにZ先生が受付で待機していた。

「来てくれたんだね」

「当たり前ですよ。先生をずっと待たせる訳には行かないんで」

「あ、そ。」

 またそっけなくなっているZ先生。ちょっとからかってみたくて

「でも本当は来ようかすっごく悩んでいたんですよね」

 というと、Z先生は慌てて

「いや、うん、今日本当にきてくれてまじですごいよ。偉いよ」

 と大袈裟に私のことを褒め始めた。

「本当はそう思っていないですよね。私、そういうのわかるんですよ」

「いや、本当に、心から俺今日授業がしたいって思っていました」
 
 二人で笑った。

 Z先生のくしゃくしゃな笑顔。

 それが見れただけで今日一日幸せになっている自分がいた。
 

 そして授業が始まった。この日は前の授業の時と比べて疲れた表情を見せず、終始テンションが高めだった。

 そんなZ先生の姿をみて今日代わりの授業を入れて本当によかったと思えた。

 
 あの日以来、Z先生が遅刻をしたことはほぼないと思う。
 
 抜けている所はあったけど、そういう所に関してはZ先生はかなり真面目は人だった。
 
 



 私はZ先生の粘り強さと真面目さを尊敬する様になった。

 
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