死のうと思った日、子供を拾いました。
「えっ」
「お前を失うのは惜しいんだよ。だから、二か月でダメなら、三ヶ月は休みにしてやる。それにお前、有給消化してないだろ。それも合わせれば四か月は休めるぞ。せめてやめるのは、それからにしてくれないか。四か月経っても元気になれなかったら、その時はやめていいから」
は? 何言ってんだよ。
週四日以上働いている俺は、確かに今年と去年分の有休を合計すると、三十日以上にはなる。でも、そんなのダメだろ。
そもそも社長が提案していいことではない。だってこんなの職権乱用だ。それもかなりタチが悪い。
「本気で言ってるんですか」
「ああ。俺はお前を失いたくないんだよ」
「でも、俺の休みは産休とかインフルとか、明確な理由があるものじゃないですよ。身内に不幸があったならまだしも、死んだあの子は俺の彼女なんですよ。他人なんですよ。それで一か月どころか、四か月も休むなんて許されることじゃないですよ」
「俺が許す。だから頼む。辞めるのはよしてくれ」
社長が俺の真横に来て、土下座をした。
「やっ、やめてください! ……わかりました。お言葉に甘えて、やめるのは四か月後にさせてもらいます。でも、社長は俺の休みを部下や個会社の方にどう説明するおつもりですか」
立ち上がって社長は言う。
「そんなのお前が考えなくていい。とにかくお前はしっかり休んで四か月後の今日、また会社に来い。その時にまた答えを聞かせてくれ」
「……はい。お世話になりました」
俺は頭を下げてから、社長室を出た。
俺はそれから荷物をまとめて会社を出た。
最愛の人が死んだからってこんなことをするのは、異常なのか? 違う。きっとそうじゃない。だって付き合って何か月かの子が死んだならまだしも、夏菜は本当なら今日結婚するハズだった。
大学三年の時から今日まで、五年も一緒に過ごしてきた。やっと上司や社長、それに部下にも手厚く信頼されて頼られるようになって、夏菜と子供を育てるのにやっと十分な金が入ったのに。幸せになれると思っていたのに!!
浮気も喧嘩もしないで、夏菜一筋で生きてきたのに、なんでこんなことになるんだ。
だって、本当は今日結婚式を挙げるハズだったんだ。彼女は煌びやかなウエディングドレスを着て、俺は洒落たタキシードを着て、招待した奴ら全員に祝福されて。みんなでなかよくウェディングケーキを食べて、式の最期には彼女がブーケトスなんてやって。そうやって、幸せな家庭と家族を作る第一歩を踏み出すハズだったのに……。
「お前を失うのは惜しいんだよ。だから、二か月でダメなら、三ヶ月は休みにしてやる。それにお前、有給消化してないだろ。それも合わせれば四か月は休めるぞ。せめてやめるのは、それからにしてくれないか。四か月経っても元気になれなかったら、その時はやめていいから」
は? 何言ってんだよ。
週四日以上働いている俺は、確かに今年と去年分の有休を合計すると、三十日以上にはなる。でも、そんなのダメだろ。
そもそも社長が提案していいことではない。だってこんなの職権乱用だ。それもかなりタチが悪い。
「本気で言ってるんですか」
「ああ。俺はお前を失いたくないんだよ」
「でも、俺の休みは産休とかインフルとか、明確な理由があるものじゃないですよ。身内に不幸があったならまだしも、死んだあの子は俺の彼女なんですよ。他人なんですよ。それで一か月どころか、四か月も休むなんて許されることじゃないですよ」
「俺が許す。だから頼む。辞めるのはよしてくれ」
社長が俺の真横に来て、土下座をした。
「やっ、やめてください! ……わかりました。お言葉に甘えて、やめるのは四か月後にさせてもらいます。でも、社長は俺の休みを部下や個会社の方にどう説明するおつもりですか」
立ち上がって社長は言う。
「そんなのお前が考えなくていい。とにかくお前はしっかり休んで四か月後の今日、また会社に来い。その時にまた答えを聞かせてくれ」
「……はい。お世話になりました」
俺は頭を下げてから、社長室を出た。
俺はそれから荷物をまとめて会社を出た。
最愛の人が死んだからってこんなことをするのは、異常なのか? 違う。きっとそうじゃない。だって付き合って何か月かの子が死んだならまだしも、夏菜は本当なら今日結婚するハズだった。
大学三年の時から今日まで、五年も一緒に過ごしてきた。やっと上司や社長、それに部下にも手厚く信頼されて頼られるようになって、夏菜と子供を育てるのにやっと十分な金が入ったのに。幸せになれると思っていたのに!!
浮気も喧嘩もしないで、夏菜一筋で生きてきたのに、なんでこんなことになるんだ。
だって、本当は今日結婚式を挙げるハズだったんだ。彼女は煌びやかなウエディングドレスを着て、俺は洒落たタキシードを着て、招待した奴ら全員に祝福されて。みんなでなかよくウェディングケーキを食べて、式の最期には彼女がブーケトスなんてやって。そうやって、幸せな家庭と家族を作る第一歩を踏み出すハズだったのに……。