冷徹騎士団長に極秘出産が見つかったら、赤ちゃんごと溺愛されています
「ロニー……偉そうなことを言ってしまって、ごめんなさい。そもそも、あなたのご両親が亡くなったのは、私の父であるウォーリック国王のせいなのに」
ロニーの小さな身体を優しく抱き寄せたリリーは、羽のように長い睫毛を静かに伏せた。
そうすればシロツメクサの花冠が、カサリと頼りなく音を立てて足元に落ちる。
「国王陛下が……父が、あんなにも争いを好む王でなければ、あなたや、ここにいる多くの子供たちに辛い思いをさせることもなかったんだわ」
いつの間にか、春を喜ぶ小鳥たちはどこか遠くへ飛び去っていた。
リリーの言葉を聞いたロニーはリリーから身体を離すと、今度は真っ直ぐにリリーの揺れる瞳を見つめ返した。
「あなたたちを辛い目に遭わせて、本当にごめんなさい」
「……っ、それは、リリー様が謝ることじゃないだろ!」
「でも……」
「確かに、国王陛下は戦好きの王だよっ。でも、リリー様は誰よりも平和を願う優しい王女様じゃないかっ! リリー様が、戦争なんてなくなればいいって思ってるのも知ってる! だから、リリー様が謝ることなんてひとつもないんだ!」
眉根を寄せたロニーの言葉は力強いが、目には薄っすらと涙の膜が張っていた。
それを見たリリーはハッと息をのんで言葉を失くす。
今、ロニーは自身の心と闘っているのだ。リリーのために、必死に憎しみを消化しようとあがいている。