冷徹騎士団長に極秘出産が見つかったら、赤ちゃんごと溺愛されています
「それにさ……リリー様はすごく高貴なお方で、本当は俺達がこんなふうにお目にかかれるような人じゃないって、子供の俺でもちゃんとわかってるんだよ」
「ロニー……」
「でも、リリー様はもう五年もここに通い続けてくれている。俺達のこと、助けてくれてる。今日だって孤児の俺と普通に話したり、みんなと歌ったり遊んだりしてくれて……。ここにいる奴らはみんな、リリー様のことが大好きなんだっ! お、俺だって、本当は──っ。だから、謝るならバカなことを言った俺の方だよ! 本当に、ごめんなさい!」
ロニーが力強く言葉を紡いで頭を下げれば草木が揺らめき、爽やかな葉音を立てた。
直後、ロニーの髪にポン、と優しい手が乗った。
弾けるように振り返ったロニーにつられてリリーが顔を上げると、カズラと呼ばれるマントを羽織った老紳士の穏かな瞳が、ふたりのことを愛おしげに見下ろしていた。
「ロニー。己の間違いに気付き、素直に謝罪の言葉を述べられるというのは、大変立派で素晴らしいことですよ」
「司祭様……」
「リリー王女も、どうかその尊い御心を痛めることのなきようになさってください。今、ロニーが申し上げましたとおり、ここにいるものは皆、貴方様に心から感謝しているのですよ」
リリーの眼前に、深いシワの刻まれた手が差し出された。
柔和な司祭に促され、リリーはゆっくりと立ち上がる。
そうすれば後方に控えていた侍女のソフィアがすぐにリリーのそばへと駆け寄って、ドレスの裾の僅かな乱れを手早く直した。