冷徹騎士団長に極秘出産が見つかったら、赤ちゃんごと溺愛されています
「……いつもありがとう、ソフィア」
「いいえ、リリー様。もったいないお言葉です。ソフィアも彼らと同じように、リリー様をお慕いするひとりですから、おそばにいられることが何よりの誇りなのですよ」
司祭に賛同するように、ソフィアはリリーを見つめて柔らかに微笑んだ。
癖のあるグレーの髪に、小柄な体格のソフィアは壮年の女性で、幼い頃から一番近くでリリーの身の回りの世話をしてきた、リリーの第二の母のような存在だ。
「だからどうか、リリー様は堂々と胸をお張りください。美しいリリー様には、笑顔が一番良くお似合いですから」
嘘のないソフィアの言葉だ。
リリーは、目に浮かんだ涙を払うと、真っ直ぐに顔を上げた。
「……ありがとう。貴方たちの言うとおりね。父がしていることに胸は痛むけれど、私は王女として謝罪をするより先に、この国のため、国民のために何ができるのかを考えるべきだったわ」
謝るだけなら、小さな子供でもできる。
今、王女として自分がするべきことは、ひとりでも多くの国民が安心して暮らせるように尽力することだ……と言葉を続けたリリーは、足元に落ちていた花冠を拾い上げた。
「どんなときでも、希望を持って前を向いていなければいけないわ。そうすればきっと、道は開けていくはずだから」
清廉なリリーの言葉を聞いた三人の顔が、眩しい光を見つめるように綻ぶ。
リリーはそっと微笑むと、三人を見つめ返した。