冷徹騎士団長に極秘出産が見つかったら、赤ちゃんごと溺愛されています
「って、自分の身の上のことまで、ペラペラと話してしまって、すみません! 今聞いたお話はどうか、俺から聞いたってことはリアム様には内緒にしておいてもらえると嬉しいです」
頬をかくのはダスターの癖なのだろう。
リリーはそんな彼を真っすぐに見上げると、「わかったわ」と頷いた。
「ダスター、あなたと話せてよかった。リアムのこと……色々と教えてくれて、ありがとう」
「へへっ、いえいえ。お役に立てたのなら、なによりです!」
照れたような笑みを見せるダスターは、やはり好感が持てる男だった。
「あとオリビアのことも、見つけてくれて本当にありがとう。それにしても、どうしてオリビアを見つけることができたの?」
何気なくリリーが尋ねると、ダスターは一瞬視線を彷徨わせてから、今度は思い切ったように口を開いた。
「実は……これは、リアム様からリリー様には秘密にしているようにと言われてたんですが」
「え?」
「邸の裏に、食糧庫がありましてね。そこは、とても涼しくて、隠れるには持ってこいの場所なんですよ。だから、リアム様がオリビア様はそこにいるんじゃないか、確認しろって、こちらにも知らせてくれて」
「リアムが……?」
ということはつまり、オリビアはほとんどリアムが見つけたようなものなのだ。
(けれどなぜ、リアムは目星のついていたそこに、自分で探しにいかなかったの?)
リリーの疑問は顔に出ていたのだろう。
ダスターは切なげに眉尻を下げてから、意を決したように言葉を続けた。
「〝邸内にいないのであれば、十中八九、そこにいる可能性が高い。だか、オリビアを見つけたとしても、俺はあの子には触れられないから代わりにお前が行ってくれ〟って、リアム様には言われました」
ダスターのその言葉に、リリーは衝撃を覚えて息をするのも忘れてしまった。
リアムはリリーが言った『オリビアには触れてほしくない』という言葉を忠実に守ろうとしたというわけだ。