あの日の初恋を君に〜六人の主人公〜
「……みんなにもプリン、食べてほしいなぁ」

未来はそう言い、ため息をついた。小説のことや帆高たちのことを考えると、胸が何度も悲しみに満たされてしまう。

エルルカに瑠花が呪いをかけられて、みんなで協力して瑠花の呪いを解いた時、六人を結んでいた絆はさらに強いものになったのだ。エルルカと黄金の花を巡って争った時に、エルルカは逃げてしまい倒せなかったらしい。それでも未来たちは強い絆で結ばれて、未来は離れることを恐れている。

「みんなと離れたくないな……」

帆高への気持ちもまだはっきりしていない。頬を赤く染めた未来は、ふわりと白い光に包まれた。



未来が目を開けると、そこにあったのは小説の世界だった。ミーナとシトロンが微笑んで立っている。

「ミーナ!シトロン!」

未来が駆け寄ると、シトロンが「ここまで小説を仕上げていただいて、ありがとうございます」と頭を下げる。

「お前たちが書いてくれたおかげで私は色んな国を旅できた。今日はお前たちの出身である日本にでも行くつもりだ」
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