モテ期を過ぎた後は寂しいけれど…

「吉川先生。この度は おめでとうございます。」

開始の挨拶が 終わって 歓談が始まると

私は 先生に お酌しに行った。


「坂本か?綺麗になったなぁ。すっかり 都会の人だね。」

「先生。今更 私を褒めても 何も出ませんよ。」

「ハハハ。相変わらずだなぁ。」

「えっ?何が ですか?」

「坂本は 昔から 回転が早くて。会話が 面白かったから。」

「そうですか?今 販売の仕事を しているからじゃないですか?」

「販売か。坂本に ぴったりだな。結婚は しないのか?」

「はい。縁がなくて。」

「へぇ。坂本は 結婚が早いと 思っていたんだけど。俺の勘も 当てにならないな。」

「そうですね。先生 年だから。勘が 鈍ったんじゃないの?」


クラス会なのに 接待している 自分に呆れて。

私は 綾乃に 手招きをする。


「先生。綾乃も 先生に 会いたがってたんですよ。」

私が言うと 綾乃は 横を向いて 私を睨む。


「岡村?お前も 綺麗だな。すっかり 垢抜けて。」

「ありがとう 先生。そう言ってくれるのは 先生だけです。」

やっぱり 綾乃も 接待を している。


『これだから 私達 駄目なのかなぁ…』

思い思いに 固まって 昔話しをしている 同級生。


『私達って 昔から こうだったっけ?』

いつからか 身に着いてしまった 社交性


ほどほどにして 自分の人生を 優先したいのに。







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