モテ期を過ぎた後は寂しいけれど…
「私 福原さんと 付き合いながら 不倫してる自分に 酔っていたの。」
綾乃は 気持ちを 整理するように
ゆっくりと 話し始めた。
私と誠は 静かに 頷きながら
綾乃の言葉の 続きを 待った。
「もちろん 福原さんのこと 良い人だとは 思っていたよ。でも 今 思うと すごく好きとか そんな気持ちじゃ なかった気がする。」
「綾乃 意地っ張りだから…」
「そう。途中から 意地になってたんだと思う。福原さんは 最初から 家庭を壊す気はないって 言っていたの。でも 私 もしかしたら 福原さんを 振り向かせることが できるかもしれないって。」
「……」
「私 昔は あんなに 人気があったんだから。福原さんも 私に 夢中になって 家族より 私を 選ぶかもって 思っていた。」
「不倫って 恋愛じゃないのに…」
「そう。私 そんなことも わからなくなっていたの。執着を愛情だと 錯覚して。でもね 吹っ切れたから。もう大丈夫だよ。目が覚めたから…」
綾乃は 明るく言ったけれど。
半分は 強がりだって 私は 気付いていた。