モテ期を過ぎた後は寂しいけれど…

夏休みに 誠と一緒に 帰省して。

お互いの 実家に 挨拶に行って。

近い将来 結婚することを 報告した。


いつまでも 東京に 1人でいる私を

心配していた母は とても 喜んだ。

しかも 誠は 中学の同級生だから。


「東京で。どこの馬の骨とも わからない人と 結婚するって言われても。反対なんて できないけど。山内君なら お家のことも よく知ってるし。本当に 良かった。」

涙を浮かべるほど 喜ぶ母を見て

私は 自分が 親不孝だったことを 実感する。


「いえ。僕の両親も 同じことを 言ってました。2人で 力を合わせて 幸せになりたいと思っています。」

誠は 堂々と言って 私の両親に 頭を下げた。


「2人とも 大人だから。お父さんは 何も 心配してないよ。これからは なんでも 山内君に 相談するんだよ。」

父の言葉に なんだか 胸が熱くなって。

「お父さん…」

私は 言葉に詰まってしまう。


「結婚しても お父さんの娘に 変わりはないんだから。困ったときは いつでも 力になるからね。」

穏やかで 優しい父に 私は 愛されていた。

父は テニスの試合も よく見に来ていた。


中学時代の私は 父にとっても 自慢だったはず。


これからは 誠と一緒に 一生懸命 生きて

もっと お父さんを 喜ばせるからね…


俯いた私の膝に 涙が ポロリと落ちて。

誠は 神妙に 頭を下げた。





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