モテ期を過ぎた後は寂しいけれど…

「帰ったら 新居 捜そうね。」

東京に戻る 新幹線の中で 誠は言う。


「うん…あのね。私 前に 誠が 同棲に 乗り気じゃなかった時 少し 不安だったの。」

「えー。どうして?」

「だって。誠 私と 一緒にいることが 嫌なのかと思って。」

「まさかー。言ったじゃない?ちゃんと ご両親に 挨拶してからって。」

「うん。だけど…」

「俺だって 渚とは いつも一緒に いたかったよ?でもさ。なし崩し的に 同棲して。何かのタイミングで 両親に知れたりしたら。傷が付くじゃん?俺達の 関係に。」

「誠 そんなこと 考えていたの?」

「うん。渚には ずーっと 表通りを 歩いてほしいから。」

そう言って 誠は 少し照れた顔をした。


「誠…」

「俺 渚と一緒にいて 自分に自信が 持てるようになったからさ。渚を 理解して 幸せにできるのは 俺しかいないって。」

「うん。誠じゃなきゃ 駄目だよ…」


私の涙腺は また 緩んでしまい。

瞼の縁から 零れた涙を 

誠は そっと 指で拭ってくれた。






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