破 恋

千里が寝てから
私もうとうとしながら
点滴の替えや抗生物質の投与や
検温、千里の汗を拭いたりと
看護師さんの手伝いをする。

朝の内に一度家に帰り
シャワーと着替えをして
病院に戻ると
目を開けていた千里と目が合う

泣きそうな顔をする千里に
どこか痛いのかと
訊ねると
側にいた看護師さんが
「目が覚めてあなたが居ないと
わかるとキョロキョロして探して
落胆していたのよ。
直ぐに戻ってくるの
知っていたけど
教えてあげなかったの
ごめんなさいね。」
と、笑って話す看護師さんに
千里も私も真っ赤になり
「仲が良いんだね。」
と、言われてしまった。
「ごめんね、シャワーと着替えに
帰っていたの。」
と、言うと
首をふりながら苦笑いをする千里。

今朝から、重湯が少量だけでたが
時間をかけてやっと食べ終えると
昼の分が来て、嫌な顔をする千里に
笑いがでる。

熱も37度台に下がる
水分も取れるようになり
隈も薄くなってきた。

土曜日の夕方に
野上主任が来てくれて
会社用の携帯を持ってきてくれた。
何かある時は使うようにと言い
「だが、今は治す事に専念しろ」
と、優しい顔をして帰って言った。

主任が帰ると疲れたのか
千里は寝てしまった。

私達は、あの時の会話を
していない。

私は、千里の身体を考慮したのも
あるが····それは···言い訳····だ·····
千里は····どんな気持ちかは···
···わから····ないが····
今、桜田さんの話をされたら
もうここには要られない

千里がなにも言わないことで
自分を正当化していた。
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