怖がらないで
蓮side


撮影が終わって大毅の様子を見ているとスタッフさんに話しかけられた。

別に話すのはいいんだけど、大毅のことの方が気になってスタッフさんとの話も早く切り上げたいと思っていた。

いつのタイミングで話を切ろうかと考えていたら、スタジオの雰囲気が変わるのが分かって自然と目を大毅に向けていた。


さっきまでとは違い


男の色気、雄の色気、優美で綺麗な大毅がそこにいた。


いつもはうるさくはしゃぐ感じの子供感があるし、俺から見れば小さくて可愛らしい彼女なわけで、こんな大毅見たことない。

若干のジェラシーを感じながらも、撮影に圧倒されてスタッフさんのことなんて頭に既になかった。


撮影が終わりスタッフさんに囲まれてる大毅。


「すごく良かったよ向井くん」

「歌手じゃなくてモデルでもいいじゃん」

「空気を変えれるのは強みになるよ」


俺が近づけないほどのスタッフさんが大毅を囲んで会話を聞いたらモデルをしたらいいとか

そんなの俺が許さねぇよ


スタッフさんの間に手を入れ大毅の腕を掴んで引き寄せる。

少しスタッフさんを睨みながらも口角を上げて


「大毅はこの後歌手の仕事があるので」


そんなことを言っていた。

当の大毅は何が怒ってるのか分かってないようで、楽屋への道を腕を引っ張りながら歩いている俺に

「怒っとるの?」

「俺なんかした?」

「ごめん、分からへん」

って困り眉で言ってくるから、楽屋に入ってすぐ正面から大毅を抱きしめた。

スタッフさんと話してる大毅に

撮られてる時の大毅に

優しすぎる大毅に

嫉妬して力を強くする。


「俺、そんなに心広くないからね」


耳元で呟いてそのままキスをする。

ぼぼぼっと顔を赤く染めた大毅はこくこくと首を縦に揺らし、そのまま両手で顔を覆った。

耳真っ赤

可愛いなぁなんて思って頭を撫でて大毅の反応に満足した俺は楽屋の片付けを始めた。
< 3 / 9 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop