その瞳に映るのは
「ふーん…わかった。声かけてごめんね。」
わかった、という田代さんの顔が少し怖くて私もつい口が動く。
「ご、ごめんね。」
条件反射の謝罪。
「ちょっと!渡辺が変に口挟むから紗夏が誤解されたじゃない。」
「はあ?席順くらいで?ってか、俺だって隣りの友達を選ぶ権利くらいあるだろ。」
同じように私も隣りを選ぶ権利があると思うんだけどな。
「だからー。私が断ったんだからそれで十分だったでしょ!紗夏の席は確定なんだから。あんたは大人しくしとけっ!」
気の許せる者同士。
少しわざとらしいくらい大きめな声での会話はきっと私の為だとわかった。
他の人がまた私に交渉を持ちかけないようにとの配慮だと思う。