あたしを撫でる、君の手が好き。
「シロ、帰って」
「言われなくたって、帰るよ」
やけに切実そうなあっくんの声が、あたしの耳に届く。
そんな声で頼まれなくたって、グループデートの邪魔はしないよ。
せめてもの仕返しとして、あっくんの胸をドンっと向こうへ突き飛ばす。
「行こう、モモちゃん」
「えー、シロちゃん。ほんとに帰っちゃうの?」
「だから、シロは入店不可なんだよ」
「意味わかんないって、それ。シロちゃん、ちょっと!」
「うるせー、富谷」
桃佳の手を引っ張って行こうとするあたしの背後で、富谷くんとあっくんが軽く言い合う声が聞こえてくる。
あたしはあっくんの冷たい声をもう聞きたくなくて。桃佳を引っ張って急いで逃げた。
「るみ、もう大丈夫だと思うよ」
カラオケ店からだいぶ離れた場所まで来たところで、桃佳がクイっと繋いだ手を引っ張って合図してくれる。