あたしを撫でる、君の手が好き。
「購買」
「るみ、今日お弁当ないの?」
「あるけど、あっくんにカフェオレ頼まれた。おつりであたしもいちごミルク買っていいって」
「いや、待って。それ、ふつーにパシリじゃん」
桃佳が冷静な声でそう言って、走っていこうとするあたしの腕をつかむ。
「わかってるけど、いいんだよ」
だって、あっくんに頭を撫でられたら逆らえないんだもん。
「すぐ戻ってくるから、先にお昼食べといて!」
そう言うと、桃佳が呆れ顔であたしの腕を離す。
「待ってるから、早く戻って来なよね」
呆れながらも、見送ってくれる桃佳は優しい。
あたしは桃佳に笑いかけると、カフェオレといちごミルクを買いに購買に走った。
言われたとおりにカフェオレを買って購買を出ようとしたとき、あっくんからメッセージが届いた。
『中庭でメシ食ってるから、持ってきて』
教室で待っていてくれなかったんだ……
これじゃ、桃佳に言うとおり本当にただのパシリだ。
だけど……
手に入れたばかりのカフェオレを見つめてため息をつく。
結局、メッセージの指示通りに中庭に向かってしまうあたしは、あっくんに弱い。
あっくんだってきっと、それをわかっているんだろう。