あたしを撫でる、君の手が好き。
購買の建物と教室がある校舎のちょうど中間地点にある中庭には、いろんな場所に点々と生徒達のグループができていた。
今日は天気もいいから、外で食べている生徒が特に多い。
きょろきょろと中庭を見回していると、校舎の壁に凭れて座っているあっくんの姿が見えた。
あっくんが座っているあたりは、ちょうど校舎で日陰になっている。そこで、仲の良い友達と数人で集まってお昼を食べていた。
さっとカフェオレだけ渡そうと思って歩み寄ったけど、友達との話に夢中になっているあっくんはあたしの気配に少しも気付いてくれない。
なんとなく声をかけづらくて、あっくん達から1メートルほど離れた場所で立ち止まる。
男子達の話し声に混じって聞こえてくるあっくんの笑い声を聞きながらどうしようか迷っていると、あっくんの横に座っていた富谷くんがあたしに気が付いてくれた。
「亜聡、白山さん」
富谷くんに肩を突かれたあっくんが、ゆっくりと顔をあげる。