あたしを撫でる、君の手が好き。

「やば。部活始まるから、早く来いって」

「そうだね。あたしもだ」

そう返したとき、あっくんはもうメッセージの返信を打ち始めていて。なんとなくあたしから気持ちを伝えるタイミングを逃してしまった。


「ごめん。俺、もう行かないと」

メッセージのやりとりを終えたあっくんが顔をあげる。


「うん、頑張ってね」

部活後に会ったときには、ちゃんと伝えられるかな。

笑いかけて小さく手を振ると、あっくんがまたグリグリとあたしの頭を撫でてきた。


「あとでな」

笑い返してくれたあっくんが、あたしを愛おしげに見つめてくれているような気がする。


「うん、あとで」

あとで会ったときにはきっと…… 考えるだけで、鼓動がドクドクと速くなる。 

先に化学準備室から出て行くあっくんの背中を見送りながら、左胸にあてた手のひらをぎゅっと握った。


 
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