あたしを撫でる、君の手が好き。
「かわい……、ほんと、犬みたい」
ぽやっとするあたしに、あっくんがふっと笑いかけてくる。
あたしを優しく見つめるあっくんの眼差しにきゅんとするのに、耳に届いた言葉が妙に胸に引っかかった。
ご褒美とか犬みたいとか。あっくんがキスしてくれた動機は、あたしが望むものとは違っているのかな。
「部活終わったら、地元の駅で待ってて。一緒に帰ろ」
不安な面持ちで見上げるあたしの頭を、あっくんがぐしゃぐしゃと雑に撫でる。
胸のなかには小さな不安が燻るままなのに、いつになく優しいあっくんの言葉や態度に期待してしまう。
また、ガッカリする展開が待っているかもしれないのに。でも今回は……、今のタイミングだったら、あたしの想いが届くのかもしれない。
「あのね、あっくん────……」
思いきって伝えてしまおうと息を吸い込んだとき、スマホの着信音が化学準備室に響いた。
ポケットからスマホを取り出したあっくんが、メッセージを見て顔をしかめる。