あたしを撫でる、君の手が好き。

「嬉しそうに尻尾振って走ってきといて、飛びつく相手間違えんなよ」

「またそうやって人のこと犬みたいに……」

文句を言いながら見上げたら、あっくんはあたし以上に不貞腐れた顔をしていた。


「そうじゃなくて、事故でも他のやつに触られんなってこと」

あっくんがあたしの頬をむぎゅっとつまむ。


「触られてはないよ。むしろ、あたったのはあたしのほうで……」

言い訳するあたしを、あっくんが静かに見下ろしてくる。

「ごめん……」

無言の圧力に耐えきれなくなって謝ると、あっくんがあたしの頭を乱暴にぐしゃりと撫でた。


「帰ろ」

そう言って歩き出したあっくんが、あたしの左手をとって強く握る。

これまで、学校から一緒に帰るときに手を繋がれたことなんてなかったのに。

いったい、どうしちゃったんだろう。

あたしの部屋に来たあとから、あっくんがずっとおかしい。それはもちろん、あたしにとっては嬉しいおかしさで。

あっくんに手をひかれて歩きながら、あたしのなかの期待値がどんどんと上がっていく。

< 150 / 227 >

この作品をシェア

pagetop