あたしを撫でる、君の手が好き。

「何かって?」

「岸とだよ。るみっていつも、『岸のこと好きです』っていうのがバレバレな目で見てるけど、今日はそれが倍増しになってただ漏れてる」

「え、嘘……」

パッと両手で頬を押さえるあたしを見て、桃佳がニヤリと笑う。


「ついに岸からも好きって言われちゃった?」

そう、ついにあっくんから……

桃佳の言葉につられて頬を緩めたけれど、次の瞬間に「ん?」と首を傾げる。

あっくんのことをこれからずっと第一優先にしてほしい、みたいに言われてキスされたけど。そういえば、はっきりと「好き」とは言われてないな。


「あれ?モモちゃん。もしかしてあたし、あっくんからペット感覚でキスされちゃったのかな……」

「付き合ってすぐキスされちゃうとか、順調じゃん。だからあたしいつも言ってたでしょ。るみと岸はうまくいくって」

「あ、でもモモちゃん……」

よく考えたら、キスされたせいで舞い上がって、頭がふわふわとしてしまって。そのせいで、あたしもあっくんにちゃんと好きだと伝えてない。

だけどあれは、両想いってことでいいんだよね……?

一瞬心配になったけど、それを桃佳に話せば「惚気なの?」って笑われそうな気がする。


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