あたしを撫でる、君の手が好き。
両手で火照った頬を押さえていると、あっくんが優しく笑いかけながらあたしの頭をわしゃっと撫でてきた。
「富谷にあんなこと言ったのは、ちゃんとしとかないと、そろそろヤバいかなーって思ったから」
「え?」
首を傾げると、あっくんがあたしを見下ろして自嘲気味に笑う。
「ほんとはずっと、自分の気持ちを伝えるのも、るみの気持ちを確かめるのも怖かったんだよ。るみの反応見て、お前も俺のこと好きかもって浮かれるときもあれば、やっぱり違うなって落ち込むこともあったし」
「そうなの?」
「そうだよ。もし俺が下手に告白とかして振られちゃったら、確実にるみと気まずくなるじゃん。それは絶対いやだった」
初めて聞かされたあっくんの本音に、胸がきゅんと痛くなる。
あっくんが思ってくれていたことは、あたしがずっと思っていたことと全く同じで。お互いに相手のことを想って、嬉しくなったり落ち込んだりしていたあたし達は、今まで随分と遠回りをしていたらしい。
お互いの気持ちは、確かめさえすればいつでも同じところにあったのに。