あたしを撫でる、君の手が好き。
中2のとき、あたしとあっくんは同じクラスだった。
だけど、残念ながら、修学旅行のときの行動班は別々になってしまった。
そのときのあたし達はクラスメート以上、幼なじみ以下という感じで。『あっくんと同じ班になりたい』と強く主張できるような関係ではなかったのだ。
同じクラスでも、行動班が違うと、修学旅行中に全然あっくんと会わない。
最終日の自由行動で京都のお寺を散策しているときに、やっと初めて、あっくんに出会えた。
友達と話していたあっくんはあたしの存在には気付いていなかったみたいだけど、あたしはあっくんに出会えたことがものすごく嬉しくて。ドキドキして。
すれ違いざまに、ほとんど反射的にカメラのシャッターを切っていた。
それが、あたしが修学旅行先であっくんのことを写せた唯一の写真。
急いで撮った隠し撮りだから、あっくんは横を向いているし、ズームにする暇もなかったから、一緒に歩いていた友達も写り込んでいる。
それでもあたしにとっては貴重な一枚で。
間違えてデータを消したりすることがないように、友達にあげるための写真と一緒にあっくんの写真も印刷したのだ。
誰かに見られてるわけでもないのに、隠し撮りであることが気まずくて。印刷中もお金を払うときも、ものすごくドキドキしていたような気がする。