あたしを撫でる、君の手が好き。
「シロちゃん、俺の分もなんか買ってきてよ。亜聡といっしょで、シュワシュワするやつ」
「あ、うん」
「早く行けって」
あたしにお金を預けた富谷くんが、あっくんに追い立てられるようにして教室を出て行く。
その背中をぼんやり見送っていると、あっくんに乱暴にぐしゃりと頭を撫でられる。
「何ぼーっとしてんだよ」
「あ、ごめん」
「さっさと行ってこいよ。今度はぼけーっとして人にぶつかんなよ」
「あー、うん」
さっきクラスの男子とぶつかったところ、あっくんに見られてたんだ。
恥ずかしいな、と思いながら前髪を弄ると、あっくんがさらにぐしゃぐしゃと頭を撫でてきた。