あたしを撫でる、君の手が好き。
◇
応援席に座ってぼーっと校庭を眺めていると、横からすっと現れた手のひらが、あたしの目の前でひらひら揺れた。
「るーみっ、生きてる?」
ぼんやりと無意識状態だった脳が、ハッと覚醒する。
おもむろに首を横に向けると、体育祭委員の仕事でどこかに行っていたはずの桃佳が、いつのまにか戻ってきていた。
「大丈夫?昼休み終わってから、ずーっとぼんやりしてるけど。今だって、呼んでも全然反応しないし。熱中症?」
「ううん、平気」
「そう?本気でヤバかったら言ってね。保健室連れてくから」
「ありがとう」
心配そうに顔を覗き込んでくる桃佳に、力なく微笑みかける。
熱中症とか、そんなんじゃない。
昼休みのあとから、ずーっとあたしを落ち込ませているのはあっくんだ。
昼休みの前に何かを理由に怒らせたきり、あっくんはあたしと目も合わせてくれない。
委員の仕事の合間に応援席に戻ってきても、あたしのそばは素通りで。そのことが余計にあたしを落ち込ませていた。