あたしを撫でる、君の手が好き。


私たちのチームのアンカーが、一位でスタートを切って走り出したことで、応援席の歓声がひときわ大きくなる。

その歓声に紛れて、「あー」と同情するようなため息が聞こえてきた。

バトンを繋ぐ直前で追い抜かれた徳永さんが、転倒してしまったのだ。

綺麗な顔を苦しそうに歪めた徳永さんが、すぐに立ち上がってアンカーにバトンを繋ぐ。

バトンを繋いだあとは、他の走者達が並ぶ列に気丈に歩いてく徳永さんだったけれど。肘にも膝にも血が滲んでいて、怪我をしているようだった。

桃佳を含めたクラスメートたちは、一位で疾走し続ける同じチームのアンカーに夢中で、徳永さんの転倒なんて気にも留めていない。

だけどあたしは、もう一位確定のアンカーよりも怪我をしている徳永さんのほうが気になってしまった。 


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