あたしを撫でる、君の手が好き。

徳永さんのことを遠くからジッと見守っていると、あたしと同じように彼女の怪我に気付いたらしいあっくんが近付いていく。

あっくんに話しかけられて首を横に振って笑っていた徳永さんだったけれど……あっくんが手をつかんで引っ張ると、その顔を真っ赤にして立ち上がった。

それから、あっくんに手を引かれるようにして、競技者達の列から抜けてどこかに歩いて行ってしまう。

方向的にはたぶん救護用のテント。

あっくんは優しいから、目の前で怪我をした徳永さんのことを放っておけなかったんだろう。

当たり前のことだし、もしあたしがあっくんの立場だったらきっと同じようにすると思う。

それなのに、徳永さんの手を引いて歩くあっくんの姿を見て胸がズキズキとした。

救護テントのほうへと歩いていく二人を見つめるその向こうで、あたし達のチームのアンカーが両手を上げてゴールテープを切る。

周囲から聞こえてくるのは、悲鳴にも似た歓声。


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