あたしを撫でる、君の手が好き。


「た、体育祭委員の仕事はいいの?片付け、とか……」

「シロが寝てる間に、とっくに終わった」

「そうなんだ。迷惑かけてごめん」

あたし、そんなに寝ちゃってたんだ。


「体調悪くなるのなんて誰でもあるし、迷惑とかないだろ。もうちょっと休んで気分悪くなさそうなら、送ってくから」

「うん……」

あっくんが優しい言葉をかけてくれるのが嬉しい。もう怒ってないのかな。

ほっとしていると、ブブッと鳴る音が聞こえて、あっくんがポケットからスマホを取り出した。

メッセージが届いたみたいで、あっくんがすぐに返信をしている。

うつむいたあっくんの茶色い頭をぼーっと眺めていると、今度はあっくんのスマホが長めに震えた。


「ごめん、電話だ」

立ち上がったあっくんが、あたしから離れて保健室の外に出る。

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