ボーダーライン。Neo【上】
「ばあちゃんのスコーン、超うまいんだ」

「そうなんだ? 何て言うか……。感じの良いおじいちゃんおばあちゃんだね」

 廊下を進みながら、無邪気な彼を見上げると、目が合って幸せな気持ちになる。

 あたしも頬を緩ませた。

 部屋の扉を抜け、すぐ側に階段があった。二階が吹き抜けになった開放的なリビング。

 ウッドデッキへ続く硝子戸と、天窓から差し込む明るい日差しが、部屋に温かな雰囲気を漂わせている。

 ーー素敵……。

 部屋の雰囲気とそのインテリアに、ほぅ、と息をつく。あたたかな、理想的な空間だ。

 木製のテーブルに並べられたイングランドらしい朝食。

 ヨーコさんが作る料理は、どれも日本人の口に合う調理が為されていた。

 一皿に盛られた卵料理、ソーセージ、ビーンズ、ハッシュブラウン。別の皿にはBLTサンドイッチにスコーン。

 用意された朝食を口に運びながら、あたし達はそれぞれに会話を弾ませた。

 その後、あたしと美波は泊まらせて貰う部屋に案内され、午前中の内に荷物の整理をした。

 その間に、秋月くんとカイくんはお墓参りを済ませ、午後から大英博物館へと観光に出掛けた。
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